「急に社内研修の講師を頼まれてしまった……」 「何を話せばいいかわからないし、参加者が寝てしまわないか不安」
初めて講師を務めることになった時、誰もが抱く悩みです。実は、研修で「何を言うか(正確な知識)」よりも大切なのは、「どう伝えるか」という構成の技術です。
本記事では、プロ講師が実践している、参加者を惹きつけ「今日から使える!」と思わせるための具体的なステップを解説します。
1. 冒頭は「お悩み解決」から入る(自分事化させる)

多くの講師がやってしまいがちな失敗は、いきなり理論の説明から始めてしまうことです。相手は「研修に出たくて出ている」わけではなく、忙しい業務の合間に渋々参加している場合も多いからです。
まずは「こんなお悩みありませんか?」という問いかけから始めましょう。
- 「テレビショッピング」形式を意識する: 良い店員は、いきなり商品の成分を説明しません。まずはお客さんの「顔の赤みが気になる」といった具体的な悩みに共感し、その解決策として商品を提示します。
- 受け取りモードを作る: 「自分のことだ!」と思ってもらえれば、相手は「受け取りモード」になり、その後の話を真剣に聞いてくれるようになります。
まずは、参加者が現場で直面しているであろう困りごとを代弁することからスタートしましょう。
2. 理論よりも「体験談」で記憶に残す

「説明がわかりにくい」「退屈で眠い」と言われる最大の原因は、話が「抽象的すぎる」ことにあります。
知識マウントは不要
心理学の用語や専門的な理論を、国語のテストのように正しく教える必要はありません。
大切なのは、その知識が「どう使えるか」です。
具体例は「自分のエピソード」で
抽象的な概念を説明する時は、必ず「例えば……」と自分の体験談(ストーリー)をセットにします。
例えば、「アンダードッグ効果(弱い立場の人を応援したくなる心理)」を説明する場合:
- NG: 「これは心理学用語で、不利な立場にある人を……」と定義だけ話す。
- OK: 「先日、ショッピングモールの寒い屋外ステージで、震えながら必死に練習しているアイドルの卵たちを見たんです。その姿に心を打たれて、思わずファンになってしまいました。これがまさにアンダードッグ効果です」と描写する。
このように描写されたエピソードは「エピソード記憶」として相手の脳に残り、時間が経っても忘れられません。
3. 「完璧さ(網羅性)」を捨てて「1つの持ち帰り」に絞る

勉強熱心な人ほど、情報を漏れなくダブりなく伝えようとする「MECE(ミーシー)」という考え方に縛られがちです。しかし、研修においてこれは逆効果になることがあります。
- 作品作りではない: 研修は美しい作品を作ることではなく、「相手を少しでも変えること」が目的です。
- ワンメッセージの原則: 大量に情報を伝えても、相手は処理しきれません。1時間の研修なら、「これだけは現場で使ってほしい」というメッセージを1つ、多くても2つに絞りましょう。
「情報の漏れ」があっても構いません。参加者が研修後に「1つでもアクションを起こせる」状態にすることを目指してください。
まとめ:視点を「自分」から「聞き手」へ

研修講師として成功する鍵は、「相手が何に興味を持つか」を徹底的に想像することにあります。
- 「こんなお悩みありませんか?」で興味を引き
- 「自分の体験談」でイメージを膨らませ
- 「1つの具体的な行動」を持ち帰ってもらう
この3つを意識するだけで、あなたの研修は「受けてよかった」と感謝される価値ある時間に変わります。
まずは、自分の失敗談や成功体験をメモすることから始めてみてください。
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